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中山道広重美術館

先日中山道広重美術館へ行って来ました。
DSCF0875.jpg


この日は年に1度だけ公開される「木曽海道六拾九次之内」の最終日でした。
浮世絵版画は熱や光に弱いため、毎年9月頃から約一か月間のみ本物を展示しているそうです。
その他の期間は写真パネルによる展示になってしまうそうなので、この機会を逃したくなかったのです。
運よく学芸員さんの解説があり、より理解を深めることができたと思います。
印象に残った事をまとめてみました。

「木曽海道六拾九次」と言う字について違和感があったのですが、中山道には海がないからせめて字くらいには海を入れたと言う説などや、昔は識字率が低く音が同じであれば良かったなど諸説あるけれど、実はまだ解明されていないそう。


広重が実際に訪問した宿が存在する。期間は天保8年頃以降で、丁度広重の落款に変化があるのでその手がかりとなるそう。
天保6-7年頃の落款はこちら
広重前期
天保8-9年頃の落款はこちら
広重後期
廣重「画」の違いが分かりますね
広重は最初名所絵を参考にしながらも、自分の想像で宿場町を描いていたそうですが、実は現地を訪れてから描いたものより、見ていない時の絵の方が「広重らしい」独創性に富んだ出来上がりとなっているとの評価もあるそうです。


有名な「雨の中津川」ですが、なぜ同じ宿が二種類あるのかと言うと、落款からみて「雨」が先にできたけれど、その暗さから人気がなく作り直したのではないか…とお聞きしました。好みはそれぞれですが、私は雨の方が趣があって好きだな…
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※中山道広重美術館作成絵ハガキより

当初木曽海道六拾九次は「渓斎英泉」との共作でしたが、版元とのトラブル等があり版を重ねる毎に絵の変換がわかるものの展示がありました。「日本橋雪之曙」の最初は、

英泉落款 版元保永堂(竹内孫八)

英泉落款 版元錦樹堂(伊勢屋利兵衛)

英泉落款なし 版元錦樹堂(伊勢屋利兵衛)

英泉落款なし 版元錦樹堂(山田屋庄次郎)
この頃には曙=日の出がなくなっていました。


最終の大津(※京都ではない)宿では、あまりにうれしかったのか、絵の中には「どうぞ売れますように」的なモチーフが散りばめられていて面白かったです。

是非来年ご自身の目でお確かめ下さい!


こんな体験コーナーもあります。
DSCF0872.jpg
インクによる版画体験ができます。
A3サイズは4色、A5イズは3色です。私も体験してきました。
DSCF0873.jpg

ただ今こちらの美術館では、特別企画展「今昔東海道 山下清と歌川広重 東海道五十三次」を開催中
栗きんとん も美味しい季節となりました。ぜひ一度お出かけ下さい♪

※大判錦絵コレクション「木曽海道六拾九次之内」は田中春雄氏から寄贈を受けたものがもとになっています。田中氏は先日お亡くなりになられたそう、ご冥福をお祈りいたします。




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