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奥高麗茶碗

奥高麗茶碗(おくごうらいちゃわん)
奥高麗1


桃山時代の焼物です

高麗といえば
昔の朝鮮半島の呼び名で
現在の韓国を差します

その形や、「高麗」という名前から
朝鮮半島から伝来した高麗茶碗の一種だと
間違われることも多いのですが
実はこのお茶碗、唐津焼の一種です

唐津の焼物は古くから茶の湯の世界で珍重されてきましたが
この奥高麗は、その中でも別格とされ
極めて高い評価を受けています


名前の由来
「奥」には「古い」と言う意味があることから
古い高麗茶碗を写したと言う説が一般的です
他には
唐津の奥、すなわち朝鮮のことである説や
高麗(朝鮮)のさらに奥、すなわち現在の北朝鮮を指す
などがありますが、いずれにせよ
高麗茶碗の写しという意味があるのは間違いない様です

特徴
ゆったりとしたで、「碗なり」の器形であるということ
(例:井戸、呉器、熊川など)
一般的な唐津の土よりも細く、砂気の少ない土を使っていること
竹の節高台で、高台内に兜巾があること
無紋で、模様が入っていないこと
もちろん例外もありますが
基本的にはこの辺りが特徴で、見所になります

奥高麗


奥高麗は唐津焼の中でもかなり初期のものだと言われています

唐津焼の歴史における通説では
豊臣秀吉が朝鮮半島へ出兵(文禄・慶長の役)の際に
朝鮮半島から強制的に連れてきた陶工たちに
開窯させたのが始まりとされています

このように、唐津焼の制作自体に朝鮮人の陶工が
大きく関わっていることや
その形や特徴、ほとんどが無地であることなどを考えると
当然、奥高麗は唐津の中でも
特に初期のものであると考えられるのです



米量(よねはかり、こめはかり)と呼ばれ
日曜雑器として
米びつの中にほうりこまれ
米をすくうのに使われていた
計りと言っても
その時代に計量カップのように正確な目盛や
器の大きさに決まりなどがあるわけではなく
伝世する物の大小も様々ですので
米の量を計るというよりは、ただ、
米をすくうための雑器と考えて間違いないでしょう


以前、ある美術商の方が
「奥高麗の名品は、必ず口にキズがある」
そう話していました
もちろん無傷の名品もあると思いますが
このように、雑器として扱われてきたため
伝世している奥高麗のほとんどは、口や胴に
欠けや直しがある場合がほとんどです

このように、今日では名品として珍重されている奥高麗も
本来は、日用品として作られて
現在の一般食器の様に
雑に扱われてきたものだと思います

そこに侘びの美を見出し、大事に伝世してきた
茶人の心を大切にしたいものです





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